『ブラックオニキス・リビルド』でゲームの面白さの本質を考えた話。
皆様、外出自粛生活をいかがお過ごしでしょうか?
僕はゲームブックを楽しんでおります。
で、今回は約10時間の激闘の末にクリアしたヘビー級の1冊、
『ブラックオニキス・リビルド』を紹介したいと思います。
目次
『ブラックオニキス・リビルド』とは?
以下、『ブラックオニキス・リビルド』についての概要を幻想迷宮書店さんのサイトより引用させていただきます。
『ドルアーガの塔』3部作でその名前を日本中に知らしめた鈴木直人は、1987年、名作コンピュータRPG『ザ・ブラックオニキス』を原作とするゲームブック『スーパー・ブラックオニキス』を発表。それは日本のゲームブックを語る上でまず名前が挙がらないことはない伝説的作品となった。仲間を集めつつ、呪われた町の各所を探索し、秘宝ブラックオニキスの在処を探し出すというシンプルな内容ながら、様々なギミックのダンジョンをはじめ、やりこみ応えのあるキャラクター成長システムなど「本の中にゲームを埋め込む」というゲームブックの基本理念を非常に高いレベルで実現している。「最高のゲームブックを1冊挙げろ」と言われた時に本作を挙げる読者は少なくない。
30年前以上前に発表された傑作ゲームブックを、修正を加えた上で、電子書籍で復刊したのが本作『ブラックオニキス・リビルド』です。
いきなりですが、ハッキリ言って、本作は万人向けとは言い難いです。
なので、初めてゲームブックをプレイするような人は、まずは他の作品をプレイしてみることをお薦めします。*1
本作が万人向けではない理由は、簡単に言えば面倒くさいから。
そして、その面倒くささこそが、本作の魅力と不可分な要素だからです。
ちょっと面倒な要素
具体的に面倒な要素を挙げてみましょう。
まず、4人パーティーのダンジョンRPGをゲームブックで再現している為、管理するデータやフラグが多いです。
単純に考えて、主人公が一人の作品の、四倍の数値やフラグが変動することになります。かなり整理はされていますが、ハードルを感じる要素でしょう。
また、これもコンピュータゲームの再現のうちかも知れませんが、レベル上げや金策の為の周回が必要なゲームバランスになっている点も、現代の感覚だと辛いかも知れません。
そして、本作最大の面倒ポイントは、マッピングでしょう。
ちゃんとマッピングしてないとクリア出来ません。
と言うか、マッピングなしだと冒険の拠点「ウトロの街」で、たぶん迷子になります。親切な攻略サイトもないですし。*2
でも、その面倒の中にこそ面白さがある!
これらの面倒くさい要素は、例えば現代のコンピューターゲームだと、敬遠される要素だと思います。
データやフラグの管理は、そもそもコンピュータの得意技ですし、レベル上げの周回要素とかは課金アイテムとかオートバトルとかで回避できるゲームも有りますよね。最近はマッピングもオートマッピングが珍しく有りません。
それらを否定する気は有りませんが、本来、ゲームって好きでやるものです。
好きでやるから苦労も厭わない。苦労してクリアするから達成感が有って、面白さが有ると僕は思っています。
ゲームの面白さの本質には、面倒くささが含まれていると僕は思うのです。
そして、本作『ブラックオニキス・リビルド』の魅力もそこに有ると思っています。
コンピューターゲームが進化の過程で、出来るだけ捨てようとした要素を、コンピューターゲームを再現しようとした本作が拾い上げたといったところでしょうか。
じっくりプレイ。そして、ゆっくり待ってます。
という事で、本作は腰を据えて遊んでください。
ここまで、読んでお分かりとは思いますが、本作は隙間時間で遊んだりするには向いていません。
じっくりマッピングしながら、仲間たちと冒険してください。
クリアする頃には、地図を見なくてもウトロの街を散策できるようになって、仲間たちとも別れ難くなっていることでしょう。
およそ10時間くらいの冒険の末に、本作をクリアした僕の冒険記録紙には、現時点では使い途のないアイテムと金貨が記されています。
これはこの先の冒険で使えると考えて良いでしょうか?
鈴木直人先生には、是非とも本作の続きを執筆していただきたいです。期待しております。